りゅうおうのおしごと!3

りゅうおうのおしごと!3 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと!3 (GA文庫)

この前まで桐野夏生著『グロテスク上下』を読み終わり、実生活まで気分が沈んだ感じが続く。
なのでこれはいけない!と本書に手を出すことに。

相変わらず熱い物語なのはいつも通りだが、1、2巻は将来有望で才能豊かな一方、知識と経験が不足したあいちゃん、そしてその師匠八一の成長物語だった。一方、本巻は一転して女流棋士年齢制限まで2歳を切った25歳の桂香さんのお話。
本書を読みながらヒカルの碁の伊角さんを思い出した。伊角さんは実力がありつつもプロ試験という壁をなかなか乗り越えることが出来ず苦労人という人物(それでも20歳過ぎでプロ試験に合格しているが)。
彼と比較すると、本巻の桂香さんは失礼ながら彼とは違い、そもそも現時点ではプロレベルには実力が追いついていないという、また違った、でもありふれた辛さがある。

これまでの巻同様、熱い将棋小説として楽しむことは出来る。でも、それなりの経験を積み、自分の能力的限界を否応なく思い知ったことのある人であれば、実体験と重ねることでまた違った感じ方があると思う。ただし、それが単純な面白さといえるかどうかは分からないけども。

それはそうと振り飛車党といえば

ちなみに、本巻ではシリーズ通して初めて(たぶん)振り飛車党のプロ棋士が登場する。本書を読んだ後だと振り飛車がどういうものなのかある程度理解出来ているだろうけど、振り飛車と聞くと以下の記事を思い出す。
とても面白い記事。

王座戦の三手目で将棋板騒然となってるけど何で?について